頭痛や歯痛、肩こりや生理痛など、日常生活で頻繁に起こる痛みに対処するために、
痛み止めを服用されている方は多いかと思います。
市販薬は、日常的に手軽に購入することができ、
私たちにとって最も馴染みがあるお薬といえます。
しかし、手軽に手に入るからこそ、痛み止めを飲みすぎてしまうと
副作用の危険があることはご存じでしょうか?
今回は、痛み止めを飲みすぎた場合のリスクや、注意点などについてお教えしていきます。
痛みにも種類がある!?
「痛み」と聞いて皆さんはどのようなイメージをお持ちですか?
痛みにも大きく、3つの種類があります。
- 侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう)
一般的な痛みのイメージはこちらだと思います。
怪我をした、足をひねった、歯が痛い、喉が痛い、胃が痛い、火傷、筋肉痛など、
原因は、体のどこかで炎症がおきている場合がほとんどです。
- 神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)
神経に障害(切断や圧迫)がおきたときにおこる痛みになります。
侵害性受容性疼痛と比べて、長引いたり、治療が難しいことがあります。
- 心因性疼痛(しんいんせいとうつう)
身体に問題がないが、心理的、社会的な要因によって起こる痛みです。
通常痛みに用いられる痛み止めは、非ステロイド性抗炎症薬と呼ばれる薬です。
ステロイドでなく、炎症を和らげる薬という意味で、鎮痛や解熱の作用があります。
炎症のあるところで産生され、疼痛や発熱を起こすプロスタグランジンという物質がありますが、
これを産生する酵素を阻害するために、これらの物質が作られなくなって、
鎮痛や解熱作用を発揮します。
痛みの種類に応じて、せっかくお薬を飲んでいても効果がないということもあります。
一般には、非ステロイド性抗炎症薬(内服薬や湿布)が効果があるのは、
侵害受容性疼痛に対してで、神経障害性疼痛に対してはあまり効果がありません。
(例外もあります)
お薬を飲んでいても症状が改善されない場合は、
すぐに病院を受診し、原因を特定し、治療に専念しましょう。
お薬を飲む量とタイミング
痛み止めを飲む量やタイミングは、販売に至るまでの臨床試験で
安全かつ効果が認められる範囲で決定されます。
痛みが激しいからといって、自己判断で通常の指示量より多く飲んでしまうと、
期待される効果よりも副作用の危険性が上回ってしまい、大変危険です。
痛み止めを服用する場合は、自己判断で、飲む量・タイミングを調節したりせずに、
必ず決められた用法・用量どおりに服用するようにしましょう。
痛みは体からの警告信号
体に起こる痛みは、体からの警告信号になります。
体に異変があるからこそ、それ以上、体に無理をさせないようにするために痛みが生じます。
たしかに、今日販売されている痛み止めは、素晴らしい鎮痛作用が期待できます。
ただし、効果があるからこそ、痛みという体の警告信号を
無視させてしまうものにもなりかねません。
痛み止めを服用したからといって、根本的な原因が良くなるわけではなく、
あくまでも対症療法になります。
痛み止めを多量に服用するのではなく、自分の体の痛みにしっかりと向き合い、
早めに医療機関を受診し、原因から治療していきましょう。
お薬が効かなくなった場合は、お薬が原因ではなく、
ご自分の体調の変化や、他の病気を疑うようにしましょう。
お薬が効かない場合は、
①症状に合っていない ②症状が悪化している ③原因が他の疾患にある
などといった原因が考えられます。
このような場合は、いくらお薬を飲んでいても、症状は改善せず、
逆に症状を悪化させてしまう可能性があります。
注意が必要な副作用とは?
痛み止めは、効果が期待できるお薬であるほど、副作用のリスクもあります。
副作用としては特に、胃腸障害、とりわけ胃粘膜への負担があります。
程度には個人差がありますが、軽い胃の痛みから、激痛により
立ち上がれなくなる方もいらっしゃいます。そのため、胃腸が弱い方や消化潰瘍の方は、
服用には注意が必要です。長期に連用していると腎機能障害をきたすこともあります。
・空腹時での服用を避ける
・胃薬と一緒に服用する
・胃を保護する成分が一緒に配合されているようなお薬を選択し、服用する
などの対策をしましょう。
痛み止めを減らす方法
痛み止めを減らすには、徐々に痛み止めを飲むことを少なくしていきましょう。
いきなり止めてしまうと、痛みが強くなったり、非常にストレスになってしまうこともあります。
ストレスにならないように、徐々に減らしていきましょう。
例えば、一日に2回飲んでいたのなら、1回に減らす。
1錠飲んでいたのを、4/3錠や2/1錠に減らすなど…
ちなみに痛み止めはハサミで切れます。うまく切れない場合は、
ドラッグストアなどでピルカッターが
販売されていますので、そちらを利用しても良いですね。
痛み止めは気軽に服用する機会が多いからこそ、副作用やリスクを
しっかり把握することが大切になります。
薬は「異物であり、毒でもある」ということを理解し、
用法容量を守って薬を服用するようにしましょう。
また、効かないからといって薬の飲みすぎは厳禁です。
市販薬の量を増やすのではなく、効かないな、と思ったら
早めに医師や薬剤師に相談するようにしましょう。